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レイヨウ創作過程

レイヨウの制作過程を創作のヒントを交えつつまとめてみました。

まず初めに折ろうと考えたのは、ぶっちゃけてしまうともののけ姫の「ヤックル」です。主人公アシタカが駆っていたヒロイン動物ですね。それを紙の裏の色を効果的に使って折りたいと考えました。

ただし、途中で構造的に額の模様が出せない(出せたとしても非常に難しく、スマートではなくなる)ことがわかったので、その時点で「特定の種類ではない、なんとなくかっこいいヤックルをベースにしたレイヨウ」を創ろうと方向転換しました。

とりあえず以下の完成品の画像と展開図を御覧ください(作品のページはこちら)。

(口周りがお気に入りなんですが、写真だとよくわかりませんね。)
折りたたんだ状態の折り筋を全て描いているため、複雑な展開図に見えるかもしれませんが、基本的なカドの配置とその使い方は単純なものです。
それは以下の最初の試作の写真と展開図を見ればがわかりやすいかと思います。基本的な構造はここでもう既に決まっています。

展開図右下が尾、辺に後ろ脚、紙のカドが前足、そして辺にツノで、左上が頭ですね。よくあるパターンです。
このまま折り込んで一つの作品にすることも可能ではありますが、付け加えたい要素を上げて、それを達成するためにはどうしたら良いかを考えます。

実現可能な範囲で付け加えたい要素は具体的に以下のような感じでした。

これらを達成するためには以下の灰色部分のような領域の付加が最も簡単です。どのくらい付加をするとどの程度の効果を得られるかについては、私自身は完全に勘に頼っています。(この”勘”を得るためには、経験を積むしかないだろうと考えています。)
尚、あえて「実現可能な範囲」という言葉を含めたのは、実際にはこのような領域の付加をすることも同時に考えていたためです。つまり実現可能な範囲とは、この付加領域内で達成可能な範囲ということになります。

そして以下が領域付加後に最初に折りたたんだもの(試作2)と、その次に造形等を少し詰めたもの(試作3)になります。

最も時間をかけているのが試作2で、これは紙の繊維がボロボロになるところまで何時間もいじくり回しており、この時点で基本的な紙の動きはほぼ確定していました。試作3は各部の詳細な造形を更に詰めたものです。

尚、以上の試作は実際に折った紙の枚数でもあるので、4枚目で試しがてらの本折り(最初の画像の作品)を行ってしまいました。
特に理由はなかったのですが、今回は一気に仕上げてしまおうと考えていたため、このようなスピード創作となりましたが、それもあって詰めきれていない部分が多く残っています。その内改良を加えたいですね。

因みに使った用紙は韓国折紙協会で販売されている折り紙用の用紙(45×45cm)です。(どなたか正式名称知りませんでしょうか)
「色韓紙」という紙だと教えてもらいました!

この作品は以上のようなアイディアと流れで創作しましたが、毎回このような手順というわけではなく、作品によって様々です。上手くいかないときはスパッと諦めて、次の可能性を探るのも重要です。しかし同時に、ここはどうしても譲れない!という「こだわり」も、創作作品には込められていてほしいとは思います。

以上、どの程度参考になるかわかりませんが、折り紙創作の一助になれば幸いです。


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