フタコブラクダ創作過程

フタコブラクダを創作した手順について、簡単にまとめてみました。

 フタコブラクダを創作する上で何を目標とするか、どのような方向性で制作していくか、まずはフタコブラクダの情報を集めて作りたい要素をまとめて、方針を固めていきます。
 特に、何があればそれが「フタコブラクダの折り紙作品」して成立するのかと言えば、やはりその名の通りの「2つのコブ」となるでしょう。と言うわけで安易ではありますが、まずはどのように2つのコブを折り出すかというところからスタートしました。

ちなみにそれ以外で盛り込みたかった要素はざっくり以下の通り
・フタコブラクダはヒトコブラクダよりも脚が短いらしいが、それでもやはりイメージとして細くて長い脚がほしい。
・-40℃にまでなるという恐ろしい環境になるゴビ砂漠に適応した毛のモフモフ感。量感を立体化などして表現できるとよい。
・砂漠に適応した長いまつ毛を持つ眼の表現。

 さて、急ぎの創作でもないので、手の空いた時間に手慰み程度に紙を弄って数日後、この方向性で行こうかと最初に決めたのが、以下の展開図とその折り畳み推定です。尚、作図にはOripaを使用しています。

 非対称構造など、奇をてらった方法もいろいろと考えましたが、結局はオーソドックスに対角線に配置した内部カドからスタートすることにしました。右側は尻尾。バランスは適当です。必要な分だけ左側(頭側)に拡張をしていく算段です。

 しかしこのままだと22.5°系の構造と相性が悪いので。図の緑色の線のようにたたみ方を変えてみました。

 続いてコブの位置をそのままに、より周囲と馴染みやすい構造になるよう、緑色の線のようにたたみ方を変えてみます。

 なかなか良い感じのコブができました。前例がありそうだなとも思いつつ、そのまま後ろ脚の位置を赤い○の位置に決めて、紙の右側を拡張します。尻尾の構造もとりあえずそのまま拡大します。この拡張は、初めからこの方法でコブを折り出すことを決めていればやることのない工程ですね。

 さて、後ろ脚の位置とカドの大きさが決まったら、後は予定通り左側、頭の方向に拡張していきます。頭はカドに決まっているようなものなので、22.5°の折り筋をつけて前脚の位置等を決めます。
 作業はIllustrator上の展開図と実際に折った紙を交互に触ったりにらめっこしたりしながら進めましたが、 残念ながら感覚で行った作業なのでその”途中段階”というものがありません。というわけでだいたいまとまった段階の展開図と、そこから少し形を作ってみたものが以下の通り。

 ・・・ちょっとまて、と思った方、すみません。でもここまで一気に進んだのです。もちろん時間はかかっています。たぶん半日~丸一日くらい。線の山谷についてもとりあえず省略させていただきます。その内気が向いたら描いて更新するかもしれません。
 尾はそのままだとカドが長すぎるので毛の表現を加えつつ短くしました。コブの○が3つあるのは展開図を読み取れる方はなんとなくわかるでしょう。
 写真のものは15cmのおりがみ用紙だったので、細部、特に頭部の折り込みは難しいと考え、次は大きめの紙で細部を確定させつつブラッシュアップさせていく作業になります。

 ブラッシュアップ後の最終形の展開図です。写真は35cmのビオトープで仕上げの確定までを行ったもの。
 途中、頭に近い方のコブの周りの余分な領域を整理していると、面白い形のコブが作れることに気づいてニヤリとしました。これなら構造的にもデザイン的にも前例はまずない、良い”個性”となります。こういった偶然の出逢いは展開図を睨んでいてもなかなか起きず、実際に紙を触って試行錯誤を繰り返すことで起きるものでしょう。
 それ以外は、さり気なくに前脚の付け根を深い位置にしたりしていますが、基本的には折り込みを進めて現れた形の中から、最適だと判断したものを拾い集めていったその結果が完成形となっています。

 ほぼ当初の目標は達成できたと考えていますが、予期せず現れてくれたコブの形(展開図を畳んでみるとわかりますが、実は工程としてもちょっと面白い)に喜んだ反面、実は頭部や前脚の付近の形(肩と毛の表現)の決定には大いに悩み、まだもっと他の良い解があるのではないかとも考えてしまいます。余裕のある構造だったが故に可能性の幅が広がりすぎてしまった、ということなのでしょう。
 今後はその辺りも含めてコントロールしていければより無駄のない創作ができるかもしれないと思いつつ、しかし試行錯誤は楽しいものなので、ついああでもないこうでもないと紙を弄ってしまうのでした。

以上です。


■関連記事

フタコブラクダ